今回レビューするコニャックは1966よりピノデシャラントとコニャック作りを始めたChainierファミリーが手掛けるコニャック達。プティットシャンパーニュに22ヘクタール、グランドシャンパーニュに18ヘクタールの併せて40ヘクタールの自社畑で栽培したブドウを使い自分たちで蒸留・熟成まで手掛ける作り手です。
手にしたのはChainierを代表する3つのラインナップ。XO / Très Vieille Réserve /1989ヴィンテージです。それぞれの特徴とテイスティングの感想を見ていきましょう!
Chainier XO グランドシャンパーニュ
まず1本目は最も若いこのボトル。基本的なスペックは下記の通り。
生産域:グランドシャンパーニュ100%
容量:700ml
熟成年数:正確には不明(おそらく10年~20年のブレンド)
販売価格:70ユーロ(約9,000円) ※2021年11月時点
Shainierの厚い壁で覆われた熟成庫で時を過ごしたXOクラスのコニャック。
新樽で6~8ヶ月の熟成を得た後に古樽に移され熟成を進めます。
およその熟成年数は明記されておらず、説明にも”Aged for significantly longer than what is required by law for an XO designation(XOクラスを名乗るのに必要な最低条件よりも大幅に長く熟成を経た)”としか表現されていないため正確なところは分かりませんが、グランドシャンパーニュ産100%であることから、その特徴を照らし合わせある程度香りと味わいからは想像することができます。
では早速見ていきましょう。
香り
注いだ瞬間の香りはドライオレンジ。
ちゃんと柑橘系の香りは拾うことはできますが、ややアルコール感のツンとする感じが気になる部分でもあります。
シナモン、ナツメグを中心としたスパイス感も感じ取れますね。
10分程経つと洋ナシの香りが姿を現します。
味わい
グランドシャンパーニュの華やかさというよりは、まず最初にオーク・・・木の香りが鼻から強く抜けていきます。アーモンドもいますね。割と樽感は強めです。キャラメルのような甘味も感じることができます。
余韻としてはそこまで長くはないものの、ダージリンティーのような紅茶感が残り心地よいです。蜂蜜感も残ります。
10~20年熟成のコニャックのブレンドだと思いますが、10年前半の割合が多いのではないかと予想しています。
まだまだ若いグランドシャンパーニュコニャックです。柑橘系の花開く感じはまだ少なく、やや樽感でごまかしている感じもありますが、スパイシーで濃いコニャックが好みの方は当てはまるボトルだと思います。逆に70ユーロという価格帯でどっしりと樽が効いたコニャックも少ないので、これはこれで方向性を理解すればアリなのだと思います。
Chainier Très Vieille Réserve
続いてはプティットシャンパーニュ100%のこのボトル。基本的なスペックは下記の通り。
生産域:プティットシャンパーニュ100%
容量:700ml
熟成年数:約30年熟成
販売価格:91ユーロ(約11,600円) ※2021年11月時点
こちらのボトルは先程のXOとは異なりプティットシャンパーニュ100%。熟成年数もおよそ30年とのこと。さてさて、果たして・・・
香り
まず最初のアタックは干し草とチョウジといった乾燥した秋を感じさせる要素。
ほんのりとアールグレイもそこにいますね。ダークチョコも少し。
後半にはナツメグを中心としたスパイス感。柑橘要素、フローラル要素はかなり少な目。
味わい
トーストされた木、ナツメグ。
ほんのり口の中に広がるのは少し渋めのリンゴそして洋ナシ。ココナッツのような甘みも少し拾うことができます。
しばらく時間が経つと、最後の数口にチョコレートや溶けたキャラメルのようなかなり甘みの強い要素を感じることができます。これは最後の1的まで面白い変化です。
しかしながら全体的にはやはりスパイシー系。
余韻はXOと比較するとかなり長めですが、フローラル要素がないのでやや単調さは否めません。洋ナシ系の余韻に樽感とスパイシーさが強めに鼻から抜ける印象です。
こちらのボトルも方向性としてはXOと同じく、フルーティーさよりも樽感や重たさを求める方には合うコニャックだと思います。
Chainier 1989 グランドシャンパーニュ
ラストを飾るのはグランドシャンパーニュ100%の1989ヴィンテージです。基本スペックは下記の通り。
生産域:グランドシャンパーニュ100%
容量:700ml
蒸溜年:1989年
ボトリング:2019年8月7日
熟成年数:30年熟成
販売価格:225ユーロ(約28,800円) ※2021年11月時点
1989年のコニャック地方・・・特にCHAINIERのグランドシャンパーニュの畑がある場所の夏は暑くドライで日光が降り注ぐ葡萄にとって理想の年だったそうです。
先程のTrès Vieille Réserveと同じく30年熟成のコニャックですが、果たしてその違いは・・・
香り
ん!これはなかなか良い。
グラスに注いだ瞬間からグランドシャンパーニュの良い柑橘系・・・オレンジの香りがグラスに滞留します。これは期待できそう。
ややアルコール感は残りますが、ちゃんとそこにはオレンジ、ピーチ、マンゴーといったフルーティーな要素を感じることができます。
そのほかの要素としてはヴァニラでしょうか。ほのかにクリーミーな要素がちらほら。そしてプルーンと蜂蜜もいますね。
更に少しだけ顔をだすクローヴのスパイス要素が良いアクセントになっています。
あとは何だろう・・・ほんとに微量ながら、お香・・のようなどこか懐かしい香りを拾うことができます。これは一体どこから来ているのか・・・(私の勘違いだったらすみません)
味わい
味わいは先程の香りをそのまま体現したかのよう。
口の中に広がるオレンジ、ピーチのフルーティーさ、そしてヴァニラの甘みをまず明確に感じることができます。
余韻には蜂蜜のような甘みが口の中に広がります。
フルーティーさはちゃんと感じるものの、同じグランドシャンパーニュ、30年熟成の他のコニャックと比較すると、傾向としてはどちらかというとやはりスパイシー系。フローラル要素はほとんど無く、樽要素は強めではあります。もうこれはChainierのコニャックラインナップは全て通してこういう傾向なのだと理解するしかありません。
どちらかというと慣れている飲み手向けのコニャックと言っていいかと思います。
Chainierコニャックまとめ

先述したように全体的には樽感が強めの方向性。好みは分かれるコニャックです。スパイシーで濃いコニャックが好きな人にはハマるかもしれません。
その中でもフルーティー要素が比較的多いのは1989ヴィンテージ。前回取り上げたヴァレン テルシニール1989 シングルカスクとの比較も面白いかも。どちらも同じ1989年のグランドシャンパーニュコニャックです。ここまでキャラクターが違うのか・・・とある意味感心します。
ブラックペッパーチーズとかと合わせて飲みたくなるコニャックですね。
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