今回のコニャックは2022年に新たに特徴的なボトル形状のXOをリリースしたPrulho XO Fregateです。
私自身、このPrulhoというブランドのコニャックを飲むのは今回が初めてです。
Cognac Prulhoとは
Cognac Prulho創業者であるRobert Prulho氏は1926年にコニャックの町に生まれます。彼はコニャックの魅力に引き寄せられ、1948年に蒸留器の作り手として独立しました。最初はコニャック生産者ではなく蒸留器職人だったのは以外ですね。1981年に息子のRichard氏が加わり、親子2世代で蒸留器作りを続けます。
その後、彼らの情熱はコニャック作りへとむけられ、それまで蒸留器作りで培ったノウハウを活かし、コニャックの蒸留を手掛けるようになります。そうして2006年に彼らの最初の商品となるCognacをリリースしました。
彼らのコニャックラインナップは豊富で、VS、VSOPといったスタンダードなラインナップから、LES SECRETSなどのフラッグシップモデルまで約15以上の商品を世に送り出しています。
主な輸出先はアメリカ、中国、ボリビア、イタリア、南アフリカなどがメインとなっています。
自社の葡萄畑は保有していないので、契約農家から買い付けたワインを自社で蒸留し熟成させていくいわいゆネゴシアン的な立ち位置です。
Prulho XO Fregate基本情報
では今回のボトルの基本スペックから見てみましょう。
生産域:グランドシャンパーニュ、プティットシャンパーニュ、ボルドリ、ファンボア、ボンボア、ボアゾルディネールの全エリアのブレンド(詳細比率は不明)
アルコール度数:40%
熟成年数:詳細不明(XOなので最低10年以上)
価格:113ユーロ(約14,000円)※2021年10月時点
と、まぁやや詳細不明な内容も多いのですが、このような感じです。
ボトルデザイン
「ボトルデザインはどうでもいい」派の方には余計な話かもしれませんが、この独特な形状には触れないわけにはいきません。
商品名にある「Fregate」ですが、もともとは軍艦の艦種を示す言葉です。Prulhoのコニャック作りに対する魂と情熱を象徴し世界中を回る偉大な航海、という意味を博してこのような名前を付けたそうです。
その意味を象徴するかのようにボトルデザインも軍艦をイメージした独特な屈強なデザインとなっています。コルクキャップ部分は帆船時代のフリゲートにある帆のイメージ、あるいは錨を彷彿とさせるイメージですね。
さてさて、気になるのは中身です。果たしてこのボトルデザインに負けないような作りになっているのでしょうか。香りと味わいを見て参りましょう。
Prulho XO Fregateの香味
香り
まず最初に、全体的にかなり甘みの強いコニャックであることを香りの段階で感じます。これはある種やや人工的な加糖要素も含むネガティブな甘みという意味合いも含んでいるのですが、捉え方によっては初心者にも飲みやすいコニャックであると言い換えることもできます。(やや苦しいですが・・・)
香り立ちとして最も強く感じるのは、アプリコット(杏子)です。ゆっくりコトコトに詰めたアプリコットというよりもドライアプリコットのような乾いた甘い香りですね。その後すこしキンカンのような要素も捉えることができます。
アプリコットと併せて感じるのはキャラメルの甘い香りです。
最初はこのような甘い果実の香りが強かったのですが、徐々に樽由来の心地よいスパイス要素も顔を出します。黒コショウと乾いたレザーでしょうか。
ほんのり、ほんとうに一握りだけスミレのようなフローラルさも存在します。
やはり全体的にはアプリコットを中心とした非常に甘みのある香り立ちが特徴的です。
味わい
味わいとしても香りをそのまま踏襲したアプリコットの香味が口の中から鼻を支配します。そして日本人にしか分からない香味かもしれませんが、とても甘く煮詰めた梅の実のような酸味と甘みが織りなす不思議な要素が一気に広がります。
後味として少しだけ残るスパイス感。やはり黒コショウ、そしてカレー粉のような風味が鼻腔から少しだけ抜けていきます。
その後の鼻抜けはウッディな要素を強く感じた後にほんのりと柑橘系の香りが鼻からすぅーっと引いていきます。余韻の長さとしてはやや短め。意外とスッキリといった印象です。
加糖の具合は分かりませんが、やはり全体的にかなり甘みを感じる角の取れた丸いコニャックです。
Prulho XO Fregateまとめ
Fregateを象徴する外観ボトルデザインとは裏腹に、大変丸みを帯びたコニャック。
ここ最近、ウイスキーファンに傾斜しているスパイシーでアルコール度数の高いコニャック全体の方向性とは真逆に位置するひと昔前の甘くまろやかな味わいを思い出させてくれるコニャックです。
その丸さからも往年のコニャックファンにとってはややインパクトが薄く感じるという方もいるかもしれません。
ポジティブな捉え方としては、非常に飲みやすいコニャックであることと、価格帯も比較的手に取りやすい域であることから、コニャックを始めてストレートで飲む方にも大きなハズレなく試して頂けるコニャックかと思います。
飲みやすいが故に意外とグビグビいってしまう・・・・私の場合はスイスイ飲んでしまって1ヶ月経たないうちにボトルが空になってしまいそうです(笑)
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