今回レビューを行うのは、グランドシャンパー地区スゴンザックにてOlivierさんとLéaさんが2018年にブランド展開を始めたコニャック「Laurichesse Cognac」。
ブランド自体は若いものの、このコニャックは2本ともOliverさんの父にあたるGuy Laurichesse氏が自宅の12hlの小型蒸留器で1970年代に蒸留したもの。そしてそれから約40~45年ほど樽で熟成を経た長熟のグランドシャンパーニュコニャックとなっています。
2本とも樽違いのシングルカスク。ノンシュガー・ノンキャラメル・ノンチルフィルタード・カスクストレンクスの逸品です。
品名にある「HOMMAGE」とはLe Chai de mon Père (‘The Cellar of My Father’)という意味で、Oliverさんの父が大切に保管していた熟成庫を指します。
それでは早速各ボトルの詳細とレビューを行って参りましょう。
※ご留意事項※
今回私が入手したラベルには「HOMMAGE」と書かれていますが、こちらは現在ラベルが変更され「Le Chai de Mon Pere」という表記になっています。ラベルが異なるだけで商品としては同じコニャックとなります。
Laurichesse Le Chai de Mon Pere Fût 104 Cognac
まずはこちらの104番にあたるボトル。主な特徴としては次の通り。
グランドシャンパーニュ100%
アルコール度数47.4%(カスクストレンクス)
ノンカラメル、ノンシュガー、ノンチルフィルタードの添加物一切無しの樽出しコニャック
蒸溜年1970年代
熟成年数約40年(~45年)
限定392本
香り立ち
まず第一印象として木の要素やスパイス感を強く感じる印象。しっかりと熟成はされていますが、樽感は強い気がします。シガーボックスなんか近いかも。
それからちゃんと40年を超えるグランドシャンパーニュに特有な柑橘系(主にオレンジ)の香りを拾うことができます。この傾向は口に含んだ際に良いトロピカル系ランシオを楽しめる可能性が高い香り立ちです。
あとは白コショウ、ナツメグなど、全体的にスパイス要素が大きいですね。くすぶる炭のようなスモーキーさも感じることができます。
味わい
アルコール度数も相まってアタックは強め。しっかりとパンチが効いています。
香り立ちで感じたスパイシーさはちゃんと保持しつつ、コーヒー豆、そしてシナモン、ヘーゼルナッツが続きます。
ここまでは大方予想通りですが、余韻が一味違いました。口の中に余韻として残るのは先程と打って変わって甘いピーチ、ドライオレンジ。
これぞ40年熟成を超えたグランドシャンパーニュコニャックに現れるトロピカル系ランシオの片鱗です。強烈なトロピカル感とは異なりますが、元のスパイシーさと相まって非常に面白いバランスです。
さらに数分後はマンゴーへと変化を遂げます。これはいい。時間を置けば置くほどスパイスからフルーツへの変化を楽しむことができます。
Laurichesse Le Chai de Mon Pere Fût 301 Cognac
続いては樽違いのグランドシャンパーニュコニャック301番。主な特徴としては次の通り。
グランドシャンパーニュ100%
アルコール度数45%(カスクストレンクス)
ノンカラメル、ノンシュガー、ノンチルフィルタードの添加物一切無しの樽出しコニャック
蒸溜年1970年代
熟成年数約40年(~45年)
限定388本
およそのスペックとしては104と同じような内容ですが、果たしてその中身は・・・
香り立ち
先程の104とは打って変わって、いきなりオレンジ、ピーチといったフルーツ感あふれる香り立ち。少しミントのような清涼感もあります。あと蜂蜜。
これは香りを嗅いだ瞬間に「あ、これは絶対に美味しいグランドシャンパーニュコニャックだ」というのが分かる。そんな期待だらけのコニャックです。
オレンジ、ピーチにとどまらず、時間を奥につれ、洋ナシも出現しますね。あとはアクセントとしてちゃんとした樽感。オークや革の香りをほんの少し。
104に見えたシナモンや白コショウといったスパイス要素は少な目です。
同じ熟成時期を経たグランドシャンパーニュコニャックで、香りの時点でここまで違いが表れるとは・・・やはり面白いですね。
味わい
あぁ・・・美味い・・・・
おっと、あまりの美味しさにバカっぽい表現になってしまいました(笑)
いやはや、これは良い。
先程の104よりも優しめですが、同様にこちらの301も樽由来の香味とパンチは存在します。これはカスクストレンクス、ノンチルフィルタードの恩恵でしょうか。
香り立ちでも感じたように、口に含んだ際の柑橘系の味わいははるかにこちらの方が強く感じることができます。パッションフルーツ、マンゴー、ライチもいますね。
熟成年数30年~40年のコニャックにおける中期ランシオには木・土の香り」に加え、少しシガーボックス、たばこの葉、スギの木といったスパイシーな要素を含みます。そして40年を超えたコニャックに現れる長期ランシオは一気に「トロピカルフルーツ」の要素が現れるようになります。エステルが凝縮され、乾燥させたフルーツの香りがするようになります。
その中期・長期2つのランシオの要素をうまく併せ持つ優秀なグランドシャンパーニュコニャックです。
そして12hlの小型蒸留器で蒸留されたことによる凝縮感。それも一因でしょう。
この樽感とトロピカル系ランシオの絶妙なバランス、私の大好きな一押しコニャック「フランソワヴォワイエ エクストラ」に通ずるものがあります。ヴォワイエ エクストラと比較すると樽由来のエステル系の渋みは強く感じる部分はありますね。綺麗さでいうとヴォワイエ エクストラに軍配が上がりますが、よりパンチの効いたトロピカル系ランシオを求める方にはこちらのLaurichesse 301の方がおすすめできるかもしれません。
Laurichesseまとめ
1本とも全体的に樽感は強めではあるものの、きちんと中期・長期ランシオを感じることができる優秀なグランドシャンパーニュコニャック。
スペック自体はほぼ同じであるものの、104と301という樽違いでここまで特徴が分かれる大変面白い2本です。
簡単にまとめると
最初に飲んだ104は樽感・スパイシー系グランドシャンパーニュ。2本目の301は樽感は残しつつも、より柑橘、トロピカル系のフルーティーさが強調されたコニャックと住み分けがうまくできています。
おそらく日本人的にウケるのはよりフルーティーでトロピカルさが光る301の方。
ちょっと変わったグランドシャンパーニュコニャックで、より強い刺激を求める方にはスパイシーな104もおすすめできますね!
まだまだ2018年にブランドを立ち上げたばかりというLaurichesse Cognacですが、しょっぱなからこんなハイスペックなコニャックを放出してきたあたり、今後の展開が非常に楽しみなブランドです。
しばらくは父親のGuy Laurichesse氏が蒸留していた時代のものを商品として出してくるのだと思いますが、現在は新たに40ヘクタールの自社畑も購入し、新たな葡萄も育てているとのことで数年後?数十年後には現当主のOliverさんの蒸留したコニャックが世に出てくることでしょう。
その時この2本のコニャックを超えるポテンシャルを秘めたものを産み出せるのかどうか、今後の動向に注目です!!
→Laurichesse Cognacのブランドページはこちら
※ご留意事項※
今回私が入手したラベルには「HOMMAGE」と書かれていますが、こちらは現在ラベルが変更され「Le Chai de Mon Pere」という表記になっています。ラベルが異なるだけで商品としては同じコニャックとなります。
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