今回レビューを行うのは、オーガニックコニャックの生産者としても有名な「ギィピナール」より、「ギィピナールXO フォルブランシュ」です。
ギィピナールには2019年にコニャックに行った際に伺ったことがあり、今回そのご縁もあって貴重なフォルブランシュ種100%のコニャックを頂くことになりました。
ギィピナールの場所はコチラ。ジャルナックから車で10分ほど移動したFoussignac(フシニャック)村の一角です。
葡萄の栽培から発酵も全て自然の自然由来の肥料や酵母を使用した過程を経なければいけないオーガニックコニャック。ギィピナールはそんなオーガニック製法に転換して50年以上も経つ、もはやオーガニックコニャックのパイオニアといっても過言ではないでしょう。
貴重なフォルブランシュ種のコニャック
現在、コニャックの原料となる葡萄のほとんど(約98%)はユニブランが使用されています。それに対して今回はフォルブランシュという品種の葡萄。
実はこのフォルブランシュは1800年代に世界中の葡萄に大きな被害をもたらしたアブラムシの一種「フィロキセラ」によってほとんど絶滅に追い込まれた貴重な葡萄品種です。
貴重というより、大変繊細で病気にも弱いので、育てるのが非常に大変といった方がいいかもしれません。
そんな貴重なフォルブランシュ100%で作られたオーガニックコニャックが今回の「ギィピナールXO フォルブランシュ」です。
2021年1月ボトリングの新しいボトル
実はギィピナールは2019年(2007年蒸留)にもこの今回と同じフォルブランシュ100%のXOコニャックを出していいます。その時は限定1000本の生産量でした。
今回頂いたのはその時まだ樽に眠っていたストック。2009年蒸留、2021年1月ボトリングで500本限定生産の貴重なボトルです。
蒸溜年は2009年。熟成年数としては11~12年の熟成ということになります。シングルカスクだそうです。
葡萄の生産エリアはファンボア。これも珍しいですね。
ラベルのデザインやボトル形状は前回2019年ボトリングのものと同じです。
テイスティングタイム
では早速ギィピナール XO フォルブランシュのテイスティングを行って参りましょう。
実は2019年にギィピナールに訪問した際に2019年ボトリングのものは飲ませて頂いたことがありました。その時とはどんな違いがあるのでしょうか。
香り立ち
香り立ちは圧倒的にお花系の香りが目立ちます。凄く心地よい・・・。
まずはジャスミンですね。その後にキンモクセイのような香りもします。
その後に追ってくるのは圧倒的フルーツ感ですね。
オレンジ、そしてレモンのフレッシュさ。そしてその後にピーチのような南国フルーツ系の香り立ちです。
べっこう飴のようなあま~い要素も感じることができます。
逆にシナモンなスパイス系の香りは全くといっていいほどしないですね。
味わい
最初に申し上げておくと、とても13年そこらの熟成年数しか経っていないコニャックとは思えない程、長熟コニャックにしか見られない特徴を感じることができます。
具体的には35年熟成以上コニャックにはたまに見られる、蜂蜜とオレンジ、ピーチといった南国フルーツ系のランシオ香。この辺は香り立ちのイメージをそのまま味わいに踏襲した様子ですね。
そして素直に甘い葡萄感。食用のマスカットを彷彿させる甘酸っぱさです。
このほどよい酸味がよいアクセントになっています。
凄まじいポテンシャルを秘めたコニャック
全体を通して、2019年に飲んだギィピナールのフォルブランシュよりも更に磨きがかかった印象があります。気のせいかもしれませんが。
とにかくスペックの倍以上は熟成されているのではないかとも思ってしまうピーチ感。もうこれに尽きます。
このまま長期熟成を経たらどうなるのかも気になるところですが、フォルブランシュが原料ということと、生産域がファンボアがもあり、あまり30年を超えるような長期熟成には向いていない(耐えられない)原酒だと思いますので、もしかしたら今くらいの熟成年数がベストなのかもしれません。
そういった意味では流石ベストな時期を見極める目をもったギィピナールというところですね。
Cognac Expertでの購入価格は90ユーロ(500ml)。
正直この味わいで90ユーロ(2021年4月時点で11,700円くらい)はかなり破格だと感じています。これからコニャックを飲んでみたいという方にも十分におすすめできる価格帯です。
恐らくこのコニャックが正規輸入で日本に入ってくることは無いと思われるので、500本が無くなる前にゲットしておきたいところです。
是非Cognac Expertをチェックしてみて下さい。
Comments are closed.